【スーパー戦隊】第1話を順番に観てみた⑥(『特命』~『魔進』)
スーパー戦隊の第1話を順番に鑑賞してみた⑥
- 前提
- 特命戦隊ゴーバスターズの1話
- 獣電戦隊キョウリュウジャーの1話
- 烈車戦隊トッキュウジャーの1話
- 手裏剣戦隊ニンニンジャーの1話
- 動物戦隊ジュウオウジャーの1話
- 宇宙戦隊キュウレンジャーの1話
- 快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャーの1話
- 騎士竜戦隊リュウソウジャーの1話
- 魔進戦隊キラメイジャーの1話
- まとめ
前提
「スーパー戦隊の1話順番に観てみた」のパート⑥。新世代のゴーバスターズからキラメイジャーまで一気に振り返ります。
前回の記事はこちらから!
特命戦隊ゴーバスターズの1話
POINT:「特撮パートの意味づけ」
ゴーバスターズの特徴でもある特撮パートへの付加価値が発揮される1話。Bパートの等身大戦と同時並行で巨大戦が描かれる。特撮パート演出自体もマシンへの搭乗、ロボへの変形がバンクシーンを使わずに演出されており、ドラマパートのリアリティが維持されている。レッドが戦士となり、既に戦隊として活動している他メンバーに合流する展開であるが、アバン(OP)、Aパート、Bパートとブルー、イエローの活躍も多く、バランスの取れたレッド特別視型である。
獣電戦隊キョウリュウジャーの1話
POINT:「レッドの資質」
キングが司令官ポジションのトリンに指名され、ガブティラに認められてレッドになるまでを描く明確なレッド特別視型である。キングは成長して戦士になるのではなく、既に資質(ブレイブ)を持った人物として描かれている。他メンバーは既に戦隊として活躍しているが、互いに正体を知らない関係性が本作の特徴。変身後の本格的な等身大戦パートはBパートのみと少ないが、アバン、A・Bパートとガブティラの登場シーンは多い。
烈車戦隊トッキュウジャーの1話
POINT:「テーマ:イマジネーションの定義」
ライトが資質を発揮してレッドになる1話。前作のキングと構造は似ているが、ライトを通して「イマジネーションとは何か?」を定義する展開となっている。レッド合流のドラマスタイルでありがながら、一斉変身、一斉名乗り、レッシャー戦、ロボ戦が全て見られる構成。更に、ライト合流後のBパート戦でAパート戦にない「乗り換え」を見せることで、イマジネーションの力を具体的に表現している。
手裏剣戦隊ニンニンジャーの1話
POINT:「戦いを断り、恐れる価値観」
バラバラに散っていた5人が司令官ポジションの元に集結し、初変身を遂げる展開の1話は『アバレンジャー』以来。初期戦隊の基本フォーマットではあるが故に、メンバーの私的な理由に戦いを断り、戦いを恐れる現代的な若者の価値観が際立っている。そこでレッドが皆を勇気づける展開は本作にもレッド特別視型の文脈が見て取れる。等身大戦はアバンとBパートのみだが、一斉変身、名乗り、オトモ忍戦、ロボ戦は見せている。
動物戦隊ジュウオウジャーの1話
POINT:「話題を呼ぶ設定」
「1人の人間と4人のジューマン」という設定・絵面の面白さがアバン、A・Bパートで貫かれている。オープニングですら、4人の俳優を写さない遊びを仕掛けている。大和がジューマンの世界に迷い込み、戦隊が結成されるレッド特別視型であり、「何故変身できたのか?」という伏線も与えられている。構成としては、A・B両パートの等身大戦、キューブ戦、ロボ戦がある。
宇宙戦隊キュウレンジャーの1話
POINT:「宇宙規模の戦隊」
地球のシーンはアバンのみで1分に満たず、宇宙をまたにかける作品性を強調した1話。ラッキーが戦隊と遭遇し、戦士となるレッド特別視型であるが、同時にガルを導いてブルーにするドラマも展開される。既に戦隊となったメンバーがいる設定も活かし、アバン、A・Bパート等身大があり、9人揃わないがボイジャー戦やロボ戦の特撮パートもある。
快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャーの1話
POINT:「世界を守るヒーロー≠戦隊」
2つの戦隊が登場することによって生まれた”世界を守ることを目的としない”戦隊像がプレゼンされる1話。既にメンバーが全員が戦隊として活動しているスタイルだが、世間での立ち位置や仲間より目的を第一優先する価値観が丁寧に描かれる。そのため、アバン(OP)、Bパートで等身大戦はあるが、マシン戦、ロボ戦の特撮パートは見られない。パトレンジャーの初変身で〆。
騎士竜戦隊リュウソウジャーの1話
POINT:「キーワード(=ソウルを一つに)の体現」
先代からの継承×「身近な死」をダイレクトに描くことで”ソウルを一つに”強くなるリュウソウジャーを描いた1話。先代リュウソウジャーも変身させレッド、ブルー、ピンクが2組ずついる絵面も特徴的。構成はA・Bパートにレッドの等身大戦があり、ロボ戦もレッドのみが登場している。ブルー、ピンクの姿も登場はするが戦闘はなく、変身シーンもラストに用意されている。
魔進戦隊キラメイジャーの1話
POINT:「肯定というモチベーション」
戦隊4人に新たにレッドが加入するレッド特別視型だが、決意をするきっかけに特徴がある1話。褒められ、肯定されることで、好きなことが特別な力だと気づく展開は現代的でありキラメイジャーらしい。構成はAパートでの等身大戦、Bパートではレッドが巨大な敵に立ち向かうシーンと魔進の戦闘シーンが用意されている。今回はロボ戦はない。劇場版の先行0話が前提で進む特殊な1話である。
まとめ
お付き合い頂きましてありがとうございました。
それぞれに個性があり、時代区分で傾向をまとめることが困難な第1話の世界でした。
強引に言えば、ここ十年は「レッド特別視型」の文脈が強く、ロボ戦もなるべく見せているというくらいでしょうか。予告を見るに『ゼンカイジャー』にもそれは踏襲されそうです。予想するとなればゼンカイ1話は「ゼンカイザー+レッド」のみが登場すると思います。
それでは明日の放送を楽しみに待ちましょう!
【スーパー戦隊】第1話を順番に観てみた⑤(『魔法』~『海賊』)
スーパー戦隊の第1話を順番に鑑賞してみた⑤
- 前提
- 魔法戦隊マジレンジャーの1話
- 轟轟戦隊ボウケンジャーの1話
- 獣拳戦隊ゲキレンジャーの1話
- 炎神戦隊ゴーオンジャーの1話
- 侍戦隊シンケンジャーの1話
- 天装戦隊ゴセイジャーの1話
- 海賊戦隊ゴーカイジャーの1話
前提
「スーパー戦隊の1話順番に観てみた」のパート5。『マジレンジャー』~『ゴーカイジャー』まで。パート④はこちらから。
魔法戦隊マジレンジャーの1話
POINT:「ライバル戦士」
魔法戦隊の誕生と並行してA・Bパートにライバル戦士・ウルザードが登場し、マジレンジャーに立ち塞がる1話。なんと特撮パートで登場するのはウルザードの巨大形態:ウルケンタウロスのみ。そこにマジレンジャーの主力商品の3月にウルザードのDX商品を展開する挑戦的なスケジュールへの覚悟が1話から見て取れる(発売タイミングとしてはゴウライジャーやデカマスターの商品より2ヶ月ほど早い)。1話の構成としてはレッド特別視型であり、未熟な魁の戦士への成長を通して「勇気=魔法」のメッセージを説明する。また、司令官ポジションである小津深雪が変身することでメンバーを戦隊の世界に誘導する展開も斬新。
轟轟戦隊ボウケンジャーの1話
POINT:「既に戦隊が揃っている」
アバンから変身後のボウケンジャー5人やゴーゴービークル5機が登場する1話。Aパートでは「冒険のため」のスーツや装備であることが強調され、『ゴーゴーファイブ』のように戦闘以外の意味合いが追求されている。1話としては戦隊初のレッドが他メンバーを精神的に導く展開であり、レッドが裏切っていたブラックを焚付け、真の意味でボウケンジャーに加入させる話となる。付随してブラック=真墨を通して=ボウケンジャーのモチベーションが「敵を倒す」「人を守る」以外にあることも描いている。また、2000年代では初のロボの合体シークエンスや活躍シーンあり。
獣拳戦隊ゲキレンジャーの1話
POINT:「敵にも主役がいる」
基本はジャンが戦士となり戦隊に加入するレッド特別視型でありながら、敵組織側の主役リオの視点が目立つ1話。ウルザードと異なり、直近での玩具展開もなくドラマの為に用意されたリオへフォーカスは新しい。Aパートのブルー、イエローの変身後のシーンが修行の場面であることがゲキレンジャーらしい。獣拳VS獣拳の構図が強調され、司令官ポジションである美希やシャーフー、戦闘員や敵怪人も皆が拳法使いであることが、説明されている。ゲキビーストやゲキトージャの登場はなし。
炎神戦隊ゴーオンジャーの1話
POINT:「”正義の味方”がいるセカイ」
既に正義の味方として戦っている戦隊3人組と、それを第三者視点で見る追加組の出会いを描いた1話。Aパートが名乗りシーンで始まり、Bパート含めて戦闘が2回用意された、共通・個人武器、個人・合体必殺技、メカ戦、ロボ戦まで全部見せてしまう最も戦隊の活躍が描かれた構成。1話らしさは少ないが、確立されたゴーオンジャーの世界とこちら側の仲介役として追加組の視点が機能している。
侍戦隊シンケンジャーの1話
POINT:「今、戦隊=侍になるということ」
いつか戦隊となる未来を自覚しながら生きてきたメンバーの集結とその覚悟を描いた1話。レッドのみが戦いを始めており他4人が合流する、『ガオレンジャー』の逆パターン。戦うために「個人」の生活を捨てることに焦点があたり、それに悩む丈瑠の葛藤も描かれる。ある意味『キラメイジャー』の逆の価値観である。戦闘はアバン(OP)とBパートの2回で殺陣の魅力を描き、ラストは折神の特撮パートで飾り、ロボ戦はない。「モジカラ」の詳細は次回に持ち越している。
天装戦隊ゴセイジャーの1話
POINT:「人間じゃない戦隊」
人間よりも高次元の存在である天使たちが少年と交流を始める1話。既に5人揃って戦隊活動をしており、変身アイテムの紛失や「敵を迎え撃つだけで良いのか?」という問題提起など1話らしくない要素が見られる。ドラマはレッド・アラタが望を導き成長させる展開であり、天使の役割提示がある。アバン、Aパート、Bパート全てに変身後の戦闘シーンがあるが、特撮パートのヘッダー戦、ロボ戦はなし。
海賊戦隊ゴーカイジャーの1話
POINT:「お祭り」
アバンで「レジェンド大戦」、Bパートで「ゴーカイチェンジ」という本作のウリであるお祭り要素を盛り込んだ1話。マシン、ゴーカイオーの特撮パートをAパートでこなす構成はかなり珍しい。既にメンバーが戦隊を結成をしているスタイルであり、「個人」的な目的を持って地球に来るのは従来であれば敵組織の構図であり、海賊モチーフらしさもある1話となっている。
続きはこちらから
【スーパー戦隊】第1話を順番に観てみた④(『星獣』~『特捜』)
スーパー戦隊の第1話を順番に鑑賞してみた④
- 前提
- 星獣戦隊ギンガマンの1話
- 救急戦隊ゴーゴーファイブの1話
- 未来戦隊タイムレンジャー
- 百獣戦隊ガオレンジャーの1話
- 忍風戦隊ハリケンジャーの1話
- 爆竜戦隊アバレンジャーの1話
- 特捜戦隊デカレンジャーの1話
前提
「スーパー戦隊の1話順番に観てみた」のパート④。戦隊のメンバー構成や、スーツや装備の在り方まで再考された1話の数々。1話で言えばギンガマンから24分尺になり、活躍のスタートが手厚く描かれるようになりました。
前回までの記事はこちらから↓
星獣戦隊ギンガマンの1話
POINT:「共通装備(星獣剣)をキーアイテムへ」
星獣剣の継承の物語とすることで、これまでになく共通装備にフォーカスした1話。共通装備の重要度が変身ブレスと同等、もしくはそれ以上に向上している。これは『メガレンジャー』の「裏ワザ」として描写されたドリルセイバーの発展系なのかもしれない。レッド特別視型の1話であり、ドラマの主軸はリョウマの「身近な死」による覚醒。しかし、それが戦う決意だけではなく、秘められた潜在能力の解放に繋がる展開は、本作の世界観を強調している。ファンタジー世界とこちら側の世界の仲介役となる「第三者」=勇太の登場も重量であり、『ゴセイジャー』でも見られる手法となっていく。今回も星獣やロボの特撮パートなし。
救急戦隊ゴーゴーファイブの1話
POINT:「戦闘ではなくレスキュー」
変身後の戦闘シーンは一切なく、活躍は全て救助活動に充てられたコンセプト重視の1話。ゴーゴーファイブの敵を倒す以外の役割が初回で明示されている。そして『チェンジマン』以降久しぶりの巨大ロボ戦パートが復活。Aパートの途中からメカの出動活躍に入り、Bパートは全編通して特撮シーンがある力の入れっぷり。ここでも99マシン→ビクトリーウォーカー→ビクトリーロボの救助・災害鎮圧の段階に応じた活躍が描写されており、敵を一刀両断し撃退するだけでないメカニックの意味も付加されている。
未来戦隊タイムレンジャー
POINT:「2つの舞台」
Aパートが30世紀編、Bパートが20世紀編という構成未来人が2000年に時間移動する過程を丁寧描写する1話。そのためAパートでレッド=浅見竜也が一切登場しない珍しい展開となっている(リュウヤは登場するため永井大の出演はある)。4対1の構図であるためレッド特別視型ではるが、4人の登場シーンの方が圧倒的に多く、設定も特徴的であるためそう見えないバランスもある。メカ・ロボ戦はないが、Aパート終盤に4人を過去に送り出すための特撮パートはあり、敵との戦闘だけでない物語の機能として用いられている。
百獣戦隊ガオレンジャーの1話
POINT:「レッドが戦士になるまで」
青年がレッドに選ばれ、リーダーとしての素養を発揮するまでを描いたレッド特別視型の1話。戦隊メンバー4人にレッドが最後に合流するスタイルであり、既に戦隊として初変身済みのメンバーがいるという展開もここで初めて登場する。そのためAパート冒頭で既に変身後の戦闘があり、ガオレンジャーの活躍は全編通して長尺で描かれている。ロボ戦はないが、本作のウリであるCG表現のパワーアニマルの活躍は多く、A・Bパートともに天空島での描写からガオレンジャーとの共闘まで幅広く描写される。
忍風戦隊ハリケンジャーの1話
POINT:「追加戦士枠の先行登場」
「様々な忍者の流派を巡って展開する物語である」というシリーズ構成のコンセプトを表した1話。この作劇が変身アイテム(玩具)の異なる、本来であれば追加戦士ポジションであるゴウライジャーの先行登場の下地となっている。コンセプト説明で言えば『ジェットマン』や『タイムレンジャー』も同様なことが言えるが、「忍者というモチーフをどう解釈してストーリーを走らせるか」を1話で言及するところに特徴がある。1話構成としてはAパートでの世界観説明と敵の襲撃(身近な死)、Bパート途中からハリケンジャーの活躍を描く。メカやロボの特撮パートがないため、超忍法やガジェットの描写が厚い。
爆竜戦隊アバレンジャーの1話
POINT:「司令官ポジションが戦隊メンバー」
オープニング映像を使わずアバンで戦闘シーンを見せる初めての1話。しかもここで戦うのはブラックで、彼の元に戦士が集うという珍しい展開となっている。しかし、変身アイテム(玩具)の異なるアスカが特別な扱い(司令官的ポジション)なのは当然であり、『ハリケンジャー』1話の派生とも言える。また、怪獣映画仕様でAパート冒頭から爆竜(本来の姿ではない)が登場することも特徴。アバレンジャーの呼称がその場で命名される脚本のらしさもある。
特捜戦隊デカレンジャーの1話
POINT:「メンバー全員が初変身済み」
既に全員が戦士となっている上で、レッドの戦隊への合流を描いた1話。そのため特撮パートのアバンで始まり、Aパートでもマシンの活躍が見られる。戦士誕生描写の尺がないため、『デカレンジャー』の「事件捜査もの」フォーマットも見られ、バンとホージーの衝突ですら1話から見ることができる。また、Aパートではデカマシンがミニチュア、アリエナイザーがCGという表現も見られ、特撮パートの「ミニチュア・CG共生」意識が一層強調されている。
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【スーパー戦隊】第1話を順番に観てみた③(『鳥人』~『電磁』)
スーパー戦隊の第1話を順番に鑑賞してみた③
- 前提
- 鳥人戦隊ジェットマンの1話
- 恐竜戦隊ジュウレンジャーの1話
- 五星戦隊ダイレンジャーの1話
- 忍者戦隊カクレンジャーの1話
- 超力戦隊オーレンジャーの1話
- 激走戦隊カーレンジャーの1話
- 電磁戦隊メガレンジャーの1話
前提
「スーパー戦隊の1話順番に観てみた」のパート3。
90年代初頭~中盤の作品たち。作品のジャンル(作風)が明確に落とし込まれるようになり、「ハードな戦士の決起」を描いたこれまでの作品から、見ごたえに幅が生まれていきました。
これまでの記事はこちらから↓
鳥人戦隊ジェットマンの1話
POINT:「戦隊が揃わない」
戦士を揃いぶみを見せず、敵幹部となったリエでラストを飾ることで「連続(恋愛)ドラマ」を意識させる作りの1話。バラバラの戦士達を集めていく構図は初期戦隊の基礎を踏襲しているが、Aパートに描かれる竜の恋愛(リエとの因縁)はレッド特別視型でもある。ジェットマンの力を使いこなす竜と、戦いに不慣れな香・雷太を同時に描くBパートアクションは『チェンジマン』からの進化も感じる。メカの特撮パートはあるが、ロボは出ない。
恐竜戦隊ジュウレンジャーの1話
POINT:「これは楽しいファンタジー」
「恐竜」モチーフよりも明るいファンタジーの作風自体を強く打ち出した世界観説明重視の1話。5人は既に同じ場所に封印されており、戦うために起こされるという今までで最もシンプルな集結の仕方(但しゲキが最後にピンチを救う形で登場するなどレッド特別視型の文脈も見られる)。前作と打って変わって敵組織バンドーラ一味の愉快さがアピールされている。このように明快な活劇の見映えが強いが、捕らわれた子どもの救出劇は次回に持ち越しで終わる。守護獣、ロボ戦パートなし。
五星戦隊ダイレンジャーの1話
POINT:「拳法アクション」
作風とアクションが「中国拳法モノ」で結ばれており、全編通してカンフー映画のテイストが楽しめる1話。生身のアクションがAパートに用意されている。亮視線で物語が動き、Bパートで紐男爵と一騎討ち、1人龍星王に乗って幕引きなど明確にレッド特別視型である。既に戦隊側である他メンバーがいる1話は本作が初。今回もロボ戦なし。
忍者戦隊カクレンジャーの1話
POINT:「御伽噺のパッケージ」
視聴者を物語に誘う語り部がキャラクターとして設定されている現代の御伽噺としての作劇が提示される異色の1話。サスケとサイゾウが味方の司令官ではなく、敵の導きによって戦いに巻き込まれていく展開が新しい。1話からボケ担当のレッドとブルー、ツッコミのホワイトの構図も本作ならでは。無敵将軍は登場はあるものの、ロボの巨大戦はない。更にセイカイとジライヤに関してはチラ見せすらない。
超力戦隊オーレンジャーの1話
POINT:「レッドしか出ない」
変身後の姿がレッドしか登場しない異色の1話。また、特撮パートが2シーンあるにも関わらず登場メカは商品化のないサンダーウイングである。オーレンジャーの力を溜めに溜めて見せることで目指しているハードさや「超力」の切り札性を描き出すことには成功している。ただストイックさの犠牲となった4人は可哀想。勿論ロボ戦はない。
激走戦隊カーレンジャーの1話
POINT:「基本形の”捉え返し”」
これまでの戦隊1話的なイベントを作風であるコメディとして捉え返す1話。「司令官がメンバーを見つけ戦隊にする」「身近な死が動機になる」という言わば戦隊あるあるをギャグとして昇華してしまう。かつての展開への”普通に考えたらありえない”というツッコミを受け入れた上で物語が展開するため、独特の見易さが生まれている。そして、Aパートで遊んだ後の戦闘シーンでは真面目に戦隊の活躍を描くバランス感覚もある。1話ではメカ、ロボ戦はないが、共通装備の活躍を丁寧に描いている。
電磁戦隊メガレンジャーの1話
POINT:「”フィクション(ゲーム)の戦士になる”ということ」
既にフィクションとして浸透している「メガレンジャー」の存在そのものになるという新たな概念提示がある1話。メガレンジャーはターボレンジャー同様、高校生×宇宙×ゲーム(×デジタル製品?)という題材の多い戦隊だが、今回は”ゲームの戦士”の側面が強調されている。Aパートのゲーム内でのメガレンジャーの戦いがBパートの戦闘シーンにリンクしており、コンセプトが具体的に演出されている。”裏ワザ”としてのドリルセイバーを描くことで個人武器に意味を与えているのも見所。メカ、ロボ戦はなく、タイムリミットギリギリでシャトルに乗り込み宇宙へ脱出するハードな幕引き。
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【スーパー戦隊】第1話を順番に観てみた②(『超電子』~『高速』)
スーパー戦隊の第1話を順番に鑑賞してみた②
- まえがき
- 超電子バイオマンの1話
- 電撃戦隊チェンジマンの1話
- 超新星フラッシュマンの1話
- 光戦隊マスクマンの1話
- 超獣戦隊ライブマンの1話
- 高速戦隊ターボレンジャーの2話(1話は特別編)
- 地球戦隊ファイブマンの1話
まえがき
「スーパー戦隊の1話順番に観てみた」のパート2。
マンネリと評価される時期ですが、口が裂けてもそんなことは言えない1話激動期。
『ゴレンジャー』~『ダイナマン』は下の記事から見てください。
超電子バイオマンの1話
POINT:「ロボから始まる物語」
バイオロボに戦士を召集する役割を与えてしまうロボ全面の1話。あらゆるシーンにメイン商材=バイオロボを登場させ不思議なキャラクター性を与えている。また、脚本のリアリティがアップデートされ、初変身したメンバーが「バイオマンの力に戸惑う」描写や、ラストにイエローが離脱する次回(縦軸)への引きなどが仕掛けられる。
電撃戦隊チェンジマンの1話
POINT:「”集結する過程”からの脱却」
A・Bパート両方に変身後の戦闘シーンがある初めての1話。メンバー同士が知人であることも特徴で「集結」を描かずに他描写を深堀する展開の先駆けである。。2回戦闘シーンを作ることにより、1度目は『バイオマン』のようなスーツの力に驚愕するバトル、2度目はパワーバズーカに至るまで全ての装備を使いこなすバトルと意味合いが振り分けられている。チェンジロボは登場するが合体シーンはナシ。
超新星フラッシュマンの1話
POINT:「ロボを見せない」
フラッシュ星系からメンバーが地球に帰還するというスペースファンタジーの世界観が押し出された1話。メンバーの人間離れしたアクションや変身前状態でのドッグファイトシーンから生身での超人性も厚く描写される。メンバーが既に敵組織やフラッシュマンの存在を知っており、司令官ポジションがオミットされているのも特徴的。Bパートにてメカの特撮パート⇒フラッシュマン変身・戦闘で締められており、ロボは登場していない。
光戦隊マスクマンの1話
POINT:「レッドの縦軸ドラマ」
レッドマスク(タケル)と美緒とのラブストーリーにAパートを全振りする異色の1話。とりわけ他メンバーの紹介があるわけでもなく、タケルに「身近な死(本当は死ではない)」を振ってAパートが終わる明確なレッド特化型である。変身シーンもなく、Bパートでいきなりコックピットのマスクマンを細かいカットでチラ見せしていく登場のさせ方も攻めている。司令官ポジションの登場で締められ、意味深さや謎を散りばめて終わる珍しい1話。特撮パートはあるがロボはなし。
超獣戦隊ライブマンの1話
POINT:「敵幹部のオリジン」
Aパートで敵幹部のオリジンを描きライブマンと因縁を強調した1話。「身近な死」が戦隊メンバー全員にふられ、Bパート中盤まで引っ張った初変身シーンを盛り上げる。特撮パートで登場するのは、ロボでもレッドのメカでもなく、イエローのランドライオン。進化したミニチュア技術が押し出されている。
高速戦隊ターボレンジャーの2話(1話は特別編)
POINT:「3つの要素のバランス(高校生×妖精×車)」
「”高校生”の日常が”妖精”の世界と出会い、”車”の戦士になる」、こなすべき要素が多くなった2話。世界観を説明する司令官ポジションが復活している。Bパートの中盤の初変身まで、メンバーが戦隊になるに値する”精神的”資質を描写しているのが新しい。「敵との因縁」や「身近な死」、「優れたスペック」のいずれも描かれない。”車”要素は特撮パートで回収。ターボGTの活躍に全振りし、ドラマパートでも実物大を作って魅せている。
地球戦隊ファイブマンの1話
POINT:「戦隊アクションパートなし!」
ファイブマンとしてのアクションがない斬新な1話。変身シーンもなく、活躍はBパート・特撮シーンのコックピットのカットがメイン。『マスクマン』に近い登場演出。しかしその分Aパートの大きく占める過去編が現代編の教師ヒーロー像の形成にリンクするドラマは手厚く描かれている。1話から団欒の食事シーンが見れるのは家族戦隊ならでは。
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【スーパー戦隊】第1話を順番に観てみた①(「秘密」~「科学」)
スーパー戦隊の第1話を順番に鑑賞してみた①
まえがき
「機界戦隊ゼンカイジャー」の第1話が目の前に迫っています。
これから1年駆け抜ける番組の始まりである
第1話どんな想いが込められているのでしょうか。
この疑問が本企画の意図になります。
スーパー戦隊シリーズは大きな事業ですから、企画段階からあらゆる準備や試行錯誤があったことは想像に難くありません。
テーマ、キャラクター、脚本、演出、音楽、キャスト、商業展開などなど
多方面の関係者がその年の戦隊を作るために叡智を結集させることでしょう。
そんな仕込みが、初めて世に送り出される第1話。
最初のエピソードに託されたもの。
何を見せ、何を強調してきたか?1話の展開をどう革新していったのか?
ゴレンジャーからキラメイジャーまで44作品分振り返ってみました。
用語として、「Aパート」と「Bパート」なる言葉を使っていますが、前半・後半の意です。
秘密戦隊ゴレンジャーの1話
POINT:「集結+活躍の初期基本形」
個性豊な戦士が集結する無敵感が打ち出された基本形の1話。Aパートに変身後の姿が登場することもそのカタルシスを強化している。Aパートメンバーが召集されるまでを描く構成、「身近な死」を戦士の動機に直結させる展開は1話の基本となっていく。レッドが他メンバーに声をかけて集めていくのは意外と珍しい。
ジャッカー電撃隊の1話
POINT:「司令官ポジションの登場」
初めて司令官ポジションのキャラクター(鯨井)が登場する1話。司令官のもとにメンバーが集い、世界観を説明する展開はその後多くの作品で見られる。本作では鯨井のキャラの強さから印象がかなり持っていかれてる。「ジャッカー」の特徴としてあげられるドラマ性も強化され、Aパートでは「若者たちがなぜサイボーグになるのか」がそれぞれの視点から描かれる。今回「身近な死」が動機に紐付けられるのはクイン。キングに至っては最初から本人自信が遺体での登場となっている。
バトルフィーバーJの1話
POINT:「ヒロインへのフォーカス」
ダイアンが戦士になるまでの起承転結に尺が割かれた1話。登場から物語の構図が「彼女ー男4」となり、「身近な死」も勿論彼女に振られている。Bパートに差し掛かる中、海岸で彼女の涙をアップで写し、宙明サウンドで煽りまくる演出は1話に限っては本作でしか観られない贔屓ぶり。ロボが初登場する戦隊だが、活躍はなく、Bパートで前述のシーンの後に急に基地を見学する場面が差し込まれる。
電子戦隊デンジマンの1話
POINT:「ヒーロー・ロボの活躍全部見せ」
デンジマンの変身、能力、技、メカ、ロボなど番組の要件を全て満たす1話の基本形。変身シーン→Bパート戦闘→特撮パート(メカ・ロボ戦)の始まりでもある。能力はナレーション付きで紹介される。SFの世界観が随所に見せられ、司令官ポジションが犬だったり、ベーダー怪人の演出が『エイリアン』風だったりするのもユニーク。「身近な死」はグリーンに振られている。
太陽戦隊サンバルカンの1話
POINT:「ロボの合体」
ロボがドラマの中心となる1話。サンバルカンロボの”ウリ”である「合体」が争点となり、ヒーローと敵組織が動く展開。メンバー個人にはフォーカスがなく、司令官ポジションの娘・美佐の水着姿が急に入る。ブラックマグマの「レクイエム」(ヴェルディ)を使用した宣戦布告演出や基地にスパイが紛れ込む展開はいずれもパンチがあり、敵サイドにも印象的な見せ場を持たせた1話でもある。Bパート戦闘、勿論特撮パートのロボ戦あり。
大戦隊ゴーグルファイブの1話
POINT:「子どもとの関係」
メンバーと子どもの関係が強調され、親近感を湧かせる1話。今回も司令官ポジション(本郷博士)は登場するが、レッド以外のメンバーを選び召集するのはコンピューターボーイズ&ガールズという少年少女たち。ラストも戦闘後のメンバーとじゃれあう子どもたちで〆。また、今回レッドが本郷博士と一足先に出会い、基地にいるという「レッド特別視」を感じる。Bパート戦闘、メカ戦、ロボ戦あり。
科学戦隊ダイナマンの1話
POINT:「ダイナミック・アクション」
司令官の元に戦士が集い、戦隊となる基本スタイルだが、とにかくアクションの画で魅せる1話。戦士が集っていく様子もひたすら「動」の画でノンストップで展開していく怒涛の演出でダイナマンの派手さが十二分に表現された1話と言える。レッドとメギド王子の因縁もここで示され、「レッド特別視」と「縦軸への楔」も同時に打たれている。Bパート戦闘→ロボ戦の流れ。
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