【スーパー戦隊】第1話を順番に観てみた③(『鳥人』~『電磁』)
スーパー戦隊の第1話を順番に鑑賞してみた③
- 前提
- 鳥人戦隊ジェットマンの1話
- 恐竜戦隊ジュウレンジャーの1話
- 五星戦隊ダイレンジャーの1話
- 忍者戦隊カクレンジャーの1話
- 超力戦隊オーレンジャーの1話
- 激走戦隊カーレンジャーの1話
- 電磁戦隊メガレンジャーの1話
前提
「スーパー戦隊の1話順番に観てみた」のパート3。
90年代初頭~中盤の作品たち。作品のジャンル(作風)が明確に落とし込まれるようになり、「ハードな戦士の決起」を描いたこれまでの作品から、見ごたえに幅が生まれていきました。
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鳥人戦隊ジェットマンの1話
POINT:「戦隊が揃わない」
戦士を揃いぶみを見せず、敵幹部となったリエでラストを飾ることで「連続(恋愛)ドラマ」を意識させる作りの1話。バラバラの戦士達を集めていく構図は初期戦隊の基礎を踏襲しているが、Aパートに描かれる竜の恋愛(リエとの因縁)はレッド特別視型でもある。ジェットマンの力を使いこなす竜と、戦いに不慣れな香・雷太を同時に描くBパートアクションは『チェンジマン』からの進化も感じる。メカの特撮パートはあるが、ロボは出ない。
恐竜戦隊ジュウレンジャーの1話
POINT:「これは楽しいファンタジー」
「恐竜」モチーフよりも明るいファンタジーの作風自体を強く打ち出した世界観説明重視の1話。5人は既に同じ場所に封印されており、戦うために起こされるという今までで最もシンプルな集結の仕方(但しゲキが最後にピンチを救う形で登場するなどレッド特別視型の文脈も見られる)。前作と打って変わって敵組織バンドーラ一味の愉快さがアピールされている。このように明快な活劇の見映えが強いが、捕らわれた子どもの救出劇は次回に持ち越しで終わる。守護獣、ロボ戦パートなし。
五星戦隊ダイレンジャーの1話
POINT:「拳法アクション」
作風とアクションが「中国拳法モノ」で結ばれており、全編通してカンフー映画のテイストが楽しめる1話。生身のアクションがAパートに用意されている。亮視線で物語が動き、Bパートで紐男爵と一騎討ち、1人龍星王に乗って幕引きなど明確にレッド特別視型である。既に戦隊側である他メンバーがいる1話は本作が初。今回もロボ戦なし。
忍者戦隊カクレンジャーの1話
POINT:「御伽噺のパッケージ」
視聴者を物語に誘う語り部がキャラクターとして設定されている現代の御伽噺としての作劇が提示される異色の1話。サスケとサイゾウが味方の司令官ではなく、敵の導きによって戦いに巻き込まれていく展開が新しい。1話からボケ担当のレッドとブルー、ツッコミのホワイトの構図も本作ならでは。無敵将軍は登場はあるものの、ロボの巨大戦はない。更にセイカイとジライヤに関してはチラ見せすらない。
超力戦隊オーレンジャーの1話
POINT:「レッドしか出ない」
変身後の姿がレッドしか登場しない異色の1話。また、特撮パートが2シーンあるにも関わらず登場メカは商品化のないサンダーウイングである。オーレンジャーの力を溜めに溜めて見せることで目指しているハードさや「超力」の切り札性を描き出すことには成功している。ただストイックさの犠牲となった4人は可哀想。勿論ロボ戦はない。
激走戦隊カーレンジャーの1話
POINT:「基本形の”捉え返し”」
これまでの戦隊1話的なイベントを作風であるコメディとして捉え返す1話。「司令官がメンバーを見つけ戦隊にする」「身近な死が動機になる」という言わば戦隊あるあるをギャグとして昇華してしまう。かつての展開への”普通に考えたらありえない”というツッコミを受け入れた上で物語が展開するため、独特の見易さが生まれている。そして、Aパートで遊んだ後の戦闘シーンでは真面目に戦隊の活躍を描くバランス感覚もある。1話ではメカ、ロボ戦はないが、共通装備の活躍を丁寧に描いている。
電磁戦隊メガレンジャーの1話
POINT:「”フィクション(ゲーム)の戦士になる”ということ」
既にフィクションとして浸透している「メガレンジャー」の存在そのものになるという新たな概念提示がある1話。メガレンジャーはターボレンジャー同様、高校生×宇宙×ゲーム(×デジタル製品?)という題材の多い戦隊だが、今回は”ゲームの戦士”の側面が強調されている。Aパートのゲーム内でのメガレンジャーの戦いがBパートの戦闘シーンにリンクしており、コンセプトが具体的に演出されている。”裏ワザ”としてのドリルセイバーを描くことで個人武器に意味を与えているのも見所。メカ、ロボ戦はなく、タイムリミットギリギリでシャトルに乗り込み宇宙へ脱出するハードな幕引き。
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